ローマ人が描いた世界地図

    

日本人は他国を侵略したことについては、伏して深くこれを反省しなければならないが、コンプレックスを抱くのは危険です。「悪うございました」と謝って、後は堂々としていればいいのです。なぜなら、真の反省は理性の働きです……つまり意識面に汲み上げる働きなので、はっきりと自覚されて認識もされています。だから害とならないのです。(……)
繰り返しますが、この問題は精神分析学的な問題なのです。罪意識は無意識に巣くうので根が深く厄介なのです。しかも子々孫々伝わるので、往々、民族全体の精神外傷となるのです。
(p74〜75、荒巻義雄著『ローマ人が描いた世界地図』)