原爆を投下するまで日本を降伏させるな

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

原爆を投下するまで日本を降伏させるな――トルーマンとバーンズの陰謀

   
いま中国や韓国では史実より政治が優先する。政治的影響から事実の解釈を変えるのだ。日本でも未だにそういう面はある。
解釈は多様であってかまわないが、歴史事実は学問の対象だ。学問なのだから漸進的に討究してゆくしかない。当然ながらウヨクが間違っていてサヨクが正しい場合も、ウヨクが正しくてサヨクが間違っている場合もある。
ところが政治的に一方の立場をとると、それによる利害が生じて、不利な事実を認めがたくなる。実際僕がサヨクだったとき(たしか韓国に比較しての北朝鮮の人権抑圧状況についてだったと思うが)ある不利な事実が明らかになった際に、僕はサヨクの先輩に「これは一時後退になっても認めて反省せざるを得ないのではないか?」と問うたことがあった。そのとき先輩は「確かにそうかもしれない。しかし敵は誰なのかということだ。」と答えたことを思い出す。さまざまな反政府活動で共闘関係にある組織に不利なことは積極的に言揚げすべきではない、ということらしかった。
しかし・・・それはやはりモラルハザードなのだと思う。自らに不利な事実こそ積極的に受け入れ消化してゆかなければ、最終的にはより大きなツケを払わされるのではないか。
それにそのような態度は僕の趣味ではない。僕はプロの活動家ではないのだし、なによりも事実から政治的態度を決めたい。事実問題を立場で汚染されないように努力すること。これが今の僕の公準だ。
さて原爆である。これは米帝の犯罪だ。しかしサヨク日帝を憎むあまり「日帝の始めた侵略の帰結として原爆は投下された。もう日帝の過ちを繰り返させません。」という立場をとってきた。これは誤りだ。戦争の終結に原爆は必須ではない。ではどういう経緯があったのか。この本はそれを知る一助である。
          

序章 6月22日、天皇、「時局収拾」を求める一号作戦
1章 国民政府、中共党、アメリカの三つ巴の争いのなかで
2章 尾崎秀美が考えたこと、やったことは
3章 第87臨時議会、それと比べて中共党七全大会はグルーか、スターリン
4章 グルーの構想、それに対応する近衛・吉田の計画
5章 戦争をやめるべきだと皇太后は説いた
6章 頼みはグルーか、それともスターリン
7章 ドイツは降伏した。なぜグルーは動かないのか。じつは行動にでたのだ
8章 天皇南原繁高木八尺が説いたことを考える
断章 6月22日、チューリヒのグルー、トルーマンとバーンズ
9章 なぜかトルーマンソ連参戦の期日を知りたがる
10章 なぜかトルーマンは「7月15日」に拘泥する
11章 トルーマンの予定表の「8月1日」と「8月8日」
12章 トルーマンの予定表の「7月4日」と「7月15日」
13章 6月18日、マックロイ、ホワイトハウスの会議で禁を破る
14章 電報を読んだトルーマンとスティムソンのそれぞれの反応
15章 「自分も考えていることだから、まかせてもらいたい」
おわりに
あとがき