- 作者: 東京都歴史教育者協議会,シュガー佐藤
- 出版社/メーカー: いそっぷ社
- 発売日: 2003/08
- メディア: 単行本
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『マンガ日本人と天皇』の続編。
前作が極めてプロパガンダ的だったのに比べると、本作は政治性は控えめで拍子抜けした。なんだか威勢がよくない。
結論は「天皇を象徴にとどまらせ政治に利用させるな」でおわり。
雁屋哲なら「人民の敵天皇制廃止!人民は天皇制イデオロギーから目を覚ませ!」と言うであろうところ、ずいぶん穏便な要求である。(^_^;)
どうも、現在の日本ナショナリズムの趨勢にサヨクが対応できていないこと、ナショナリズムの側こそ大衆運動として支持されていることに対する忸怩たる思いがあるようだ。
「しかし、元号法制化の戦後史に与えたインパクトはもっと別なところにあった。
それは、右派勢力による大衆的運動方式が成功した点にある。」(212p)
「うん、でもこのこと(日米ガイドライン関連法、国旗・国歌法、盗聴法)をみるときに、
よくいわれているような『日本は再びいつかきた道を歩きはじめた』、
戦前型の軍事大国になるというとらえ方には、疑問があるんだ。」(236p)
本作が「自由主義史観研究会」や「小林よしのり」を強く意識していることは明らかだ。
だが、それらに反撃するわけでもなく、問題提起という形で終わらせているのもずいぶん弱気だなあと思う。
「クラスの小林よしのりのファンの子は何て言っている?」
「なんか、個人主義が蔓延して自分の私的な利害にだけこだわって
「公」をないがしろにしているとか、いっていた気がするわ。」(略)
「社会に統合の契機が失われ、秩序が乱れることは、国家全体の力が失われることだし、
軍事大国化もできないことになる。」
「だからこそ彼らは天皇というものを無視できないんだろうね。
そうした点も視野に入れながら、いろんなことを考えてみるといいかもしれない。」(略)
「今だって、有事に政府に協力を惜しまないような国民づくり国家づくりとは別の、
もう一つの選択肢があるはずだと思うし、
そういう現状にとって代わる構想を持つべきなんじゃないかなあ。」(239〜245p)
広く会議を興し万機公論に決するのは大賛成である。サヨクもこれをキッカケにして成熟した反体制になって欲しいものである。
- 作者: 雁屋哲,シュガー佐藤
- 出版社/メーカー: いそっぷ社
- 発売日: 2000/12/01
- メディア: 単行本
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