自主技術のためにはユーロファイターが良い?

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防衛産業の浮沈のカギ握る次期主力戦闘機選定(後編)
F-35を選べば戦闘機の国産政策は貫けない
清谷 信一
2011年12月1日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20111125/224298/?P=1
(略)
 戦闘機の開発、特にアビオニクス系では実戦の情報が極めて有用だ。(略)
 米国は自国の優位性を確保するために、このような実戦にかかわる情報を開示しない。F-2(開発時はFSXと呼ばれた)開発の関係者によると、当時の我が国はベトナム戦争のデータを米国に要求したが、朝鮮戦争のデータしか渡されなかったそうである。
 F-2は本来我が国が独自に開発するはずだったが、米はロッキード・マーティン製のF-16ベースにした近代化を米国に押しつけられた。我が国ではF-2は新型機という認識が強いが、国際的な常識からみればF-2はF−16の派生型にすぎない。しかも生産に関わる仕事量の4割は米国企業に与えた。その上、米国議会は、戦闘機のシステムのキモとも言えるソースコードの開示を拒否した。無理やり2階に上らされ、その後にはしごを外されたようなものである。このため我が国は独自にソースコードを開発する必要に迫られ、開発コストも高騰した。
 
 米国がこのような横車を押せるのは、我が国が戦闘機などの主要兵器を米国以外から調達していないからである。「米国製導入」という結論がはじめにありきなので、条件や調達価格の交渉ができない。
(略)
 防衛省は長年、自衛隊を管理するための官庁であり、政策を立案する政策官庁ではなかった。このため政策、特に産業政策を担当できる人材がほとんどいない。防衛産業の振興には経産省も関わっている。防衛省経産省のどちらが最終的に責任を負っているのか、定かでない。縦割り行政の典型的な弊害である。
(略)