通貨選択型投信は買ってはならない

山崎さんの話はいつも明快でいいなあ。
しかし証券会社のサラリーマンなのに大丈夫なのかなあ?

山崎元のマネー経済の歩き方
【第200回】 2011年10月31日
山崎元
「塩漬け」にムダなお金を払うな
http://diamond.jp/articles/-/14639
(略)
 ドル安・ユーロ安が顕著に進んだ4月から6月にかけて、顧客に、欧州や米国の債券の組み入れが多いファンドを売らせて、ブラジルレアルや豪ドルのリスクを取る商品を買わせる営業を行った金融機関が結構あった。この手合いの販売現場では、その後のレアル関連商品の価格下落を見て「投信販売は動きようがない」と嘆いているようだ。こうした「乗り換え営業」は、かつては証券会社の専売特許だったが、最近では銀行もやるので油断できない。
 
 じつは、冒頭の知人のお母様は、退職金の大半を大手信託銀行に勧められて、毎月分配型のブラジルレアル・コースに投資して、数百万円の損が出ているとのことだった。彼女は、子どもに指摘されるまで、分配金だけを見ていて、損を認識していなかったという。
 
 ブラジルレアルは為替レート単独で先進国の株価指数並みかそれ以上のリスクがある。退職金の大半を投資させるというのは、金融機関の窓口のやり口として感心しない。筆者は、ファンドを解約することに加えて、取引銀行を変えることを強く勧めた。
 
 通貨選択型投信がダメな理由は、この連載の「通貨選択型投信に『さよなら』を」で説明したので、詳しく繰り返さないが、なによりも実質的なコストが高く、毎月分配という仕組みも合理的でないし、多くの人にとってリスクが過大である(しかもわかりにくい)。だから「相場見通しにかかわりなく」避けたほうがいい。
 
「ブラジルレアルや豪ドルが上昇する見通しがあるならいいのではないか?」と問う向きもあろうが、本当にそうなるなら、もっとコストの小さい手段を使ってリスクを取るほうがいいし、そもそも先を見通すことは難しい。「見通しに関係なくダメ!」がポイントだ。
 
 問題は、商品を買う前なら避けることができる人でも、買ってしまって損が出てからでは売却できない人が多いことだ。「買値に戻るまで待つ」あるいは「しばらくは見たくもない」といった理由で、いわゆる「塩漬け」にする人が多い。自分の負けや失敗を認めたくないという心理からだろうが、塩漬け状態でもリスクを取り、信託報酬を払い続けていることを忘れてはならない。商品の種類や現在の損益にかかわらず、年率1%(長期金利の水準だ)を超す手数料の商品は売却をお勧めする。
 
 なお、解約手数料を惜しみ個人年金保険を解約できない人がいるが、これもおおむね、損する期間を短縮するほうがいい商品だ。