日本は必ずユートピアを実現できる


  
ここしばらく折に触れて小松左京さんのこの遺言について考える。
ユートピアなんて子供じみた言い方だ。
しかし博覧強記の小松さんは敢えてそう言い残した。
人類は、とも言わず、日本は、と。
 
小松さんのタイムトリップもので、タイムパトロールが厄災の時代から来た主人公にどの時空間に帰りたいか訪ねるシーンがあった。彼は同じ厄災の時代の日本に帰りたいという。なぜ敢えて困難な時代に戻るのかと問われた彼は、ただ、人間とはそういうものじゃないですか、と答える。
漏れはこの挿話に小松さんの戦争経験を読み込む。
しかし同時に、鬱と闘った小松さんが掴んだ唯一の希望を見いだす。
なぜそう思うかと言えば、同じように虚無に悩まされる漏れの慰めに感じるからかもしれない。

小松左京さん「ユートピアを実現」の言葉残し死去
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/07/29/kiji/K20110729001302590.html
(略) 
 小松さんは病床で、まるで「日本沈没」の世界が起きたような東日本大震災の惨状に心を痛めていたという。亡くなる直前には「この危機は必ず乗り越えられる。この先日本は必ずユートピアを実現できると思う。日本と日本人を信じている」と復興を願うメッセージを周囲に残した。
(略)