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笑えるくらい増税グローバリズム

出口治明の提言:日本の優先順位

【第12回】 2011年6月28日 出口治明
復興構想会議の提言は合格点。新首相は、財源確保の道筋をつけること
http://diamond.jp/articles/-/12910
(略)
財源を次の世代に負担させるな
「第2章 くらしとしごとの再生」では、農林業の高付加価値化、低コスト化、農業経営の多角化水産業の企業との連携、特区の活用等を提言している。いずれも国際競争力の強化を強く意識した提言だと受けとめられる。
(略)
 少子高齢化(65歳以上人口は1,199万人増加)、財政の悪化(国と地方の長期債務残高は501兆円増加)、国際競争力の低下(名目GDPは10兆円の減少)という3つのわが国の構造問題が顕著に現われている。人間は見たいものしか見ない、あるいは見たいようにしか世界を見ない動物であるとよく言われているが、私たちは決して目を背けることなくこの現実を素直に直視すべきである。
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 ある雑誌に、これからのわが国は「増税・現状維持派」VS「非増税・改革派」の争いになると書いていた評論家がいたが、一体いつまで高度成長期の夢を見ているのだろうかと訝しく思った。これからのわが国はむしろ「増税・改革派」VS「非増税・現状維持派」の争いになると考えるべきではないだろうか。言うまでもないことだが後者は失われた15年の延長であり衰退への道でしかない。
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  第4章は「開かれた復興」について述べられている。この章では「世界に開かれた経済再生」の部分が最も重要だと考える。提言は「国際的にも魅力的な環境を整備することにより、国際的な企業がわが国に研究開発拠点やアジア本社機能を設置することを促進」と明記している。

 例えば、大震災前ですら、わが国は国際的な企業のアジア本社機能の誘致については、香港やシンガポールに劣後していた。大震災後はこれに風評被害という新たなハンディが加わったのである。わが国がこのハンディを跳ね返して香港やシンガポール(この他に上海や北京、ソウルといった強敵が待ち構えている)と互角以上に戦って行くことは決して容易なことではない。

 その困難さを百も承知で、提言がわざわざ1章をこの問題に割いたということは、国を開かなければこの国の未来はないという強い危機感に迫られてのことであろう。この危機感こそ市民全体でぜひとも共有したいものである、と考えるのは果たして筆者だけであろうか。
(略)
 私見では、やはり復興財源の確保が何よりも重要であろう。無い袖は振れないのである。新首相には提言の趣旨に沿った復興財源の確保についてまず明確な道筋をつけてもらいたいと考える。

 その次に取り組むべきは、第一原発の収束、特区を活用した大胆な「1国2制度(規制緩和地方分権)」と国を広く世界に開いて世界の成長エネルギーを広くわが国に取り込むことであろう。