この原発事故の本質的原因は、「技術」にあるのではなく「技術経営」にある

優秀な兵士がありながら大東亜戦争に敗北した原因は「科学技術」ではなく「国家経営」にある。
漏れもまったく同感だ。事を66年前とおなじ科学技術論にすり替えさせてはならない。
「日本の病」。。。含蓄に富むなあ。

2011年5月13日(金)
見逃されている原発事故の本質
東電は「制御可能」と「制御不能」の違いをなぜ理解できなかったのか
山口栄一
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110510/219895/?P=1
(略)
 以上、論証してきたように「『最後の砦』としての隔離時復水器(IC)ないし原子炉隔離時冷却系(RCIC)が停止すれば、それから事態は『制御不能』の事態に陥る。よって停止と同時に、間髪を置かずに海水を注入する以外に暴走を止めることができない」ということが、前もって100%予見可能だった。

 現場の技術者はプロフェッショナルなので、全員が以上のように予見したに違いない。しかし、海水を注入することは、取りも直さず原子炉を廃炉にすることを意味する。従ってその意思決定は勝俣恒久会長や清水正孝社長をはじめとする経営陣にしかできない。
(略)
 すなわち、この原発事故の本質的原因は、「技術」にあるのではなく「技術経営」にある。よって、元来「制御可能」だった事故をみずからの判断ミスで「制御不能」にしてしまった東電の経営責任は、計り知れないほど大きいと言えるのではないだろうか。日本の独占企業が、「インテリジェンス」を持たない経営陣を選び取ってしまうこと。それは、もはや「日本の病」に通ずる。
(略)