中国の反応

漏れは冷静な日中友好論者と自己規定している。
よって記事に異議はない。
ただ人民と政府の思惑とはまた別のものであることは指摘しておきたい。
関東大震災に多大の義援を行った米国と20年もしないで大戦争になったりしたわけだし。
それと「日本の危機管理能力」は高いとは言えないんじゃないかな。
国民の平均的民度の高さに為政者が甘えているのだ。

2011年3月14日(月)
日本「加油!」(頑張れ!)に燃える中国網民と対日外交
遠藤誉
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110313/218962/
(略)
北京では年1回だけ開かれる中国の最高決定機関である「全国人民代表大会全人代=国会)」が「中国政治協商会議全国委員会(全国政協)」とともに開催されている真っ最中だ。この2つを合わせて「両会」と称し、会期中はすべてのニュースを圧倒して優先する。ところがCCTVは、日本の地震に関するニュースを、その両会ニュースより前に放映したのである。
(略)
 もちろん「鉄血社区」(社区:コミュニティ)のような反日色が濃厚なサイトでは「実に素晴らしい! 10級くらいの地震が東京を襲うともっといいのに」といった悪意に満ちたものがないではない。それはどの時代でも、どの国でもあることだろう。注目すべきは、「日本加油!」という書き込みの数がそれらをはるかに凌駕していることだ。
 3月12日で以下のようなものがある。
●その昔、確かに日本は戦争を仕掛けてきた。しかし中国の(四川)地震の時には真っ先に駆けつけてくれたではないか。今度は日本で大地震があったというのに、無責任な書き込みをして、気分がいいのか。
●そういうことをする者は人間ではない。
●もし中日戦争が起きたら私は鉄砲をかついで最前線で闘う。しかし、もし日本人民が災難に遭ったら、私は担架をかついで、やはり最前線で助ける。
●いいぞ! その通りだ! 中国人はまさにそういう気概を持たなくちゃ。
●私は日本の民衆の精神を信じる。頑張れ、日本!
●頑張れ日本! どうか踏ん張ってくれ!
●10万人の援助隊を組んで日本に派遣することを強烈に提案する!
●中国は多くの献金をすべきだ。
●(地震で)被害を受けた人々に哀悼の意を表し、生き残った人々が強く頑張ってくれることを祈る。
●家屋の耐震能力のなんと高いこと。
●それにしても、原発はやはり安全じゃないねぇ。
●中国の小学校は(四川地震において)真っ先に倒壊した。でも日本では小学校が避難所になる。
 こういった書き込みが何十万、何百万と続く。
 それなら今、中国の対日政策は、どのようになっているのだろうか。
(略)
(3)私が心配するのは、むしろ日本の執政党(与党)と政府指導層の不安定さである。かつて温家宝首相が訪日したときに鳩山(元)首相は、ほぼ上の空という印象を中国国民に与えた。それを証拠づけるように温家宝首相が帰国した直後に鳩山氏は首相を辞任している。今も、政権の不安定は間断なく続いている。
 
 特に日本外相の、まるで「走馬灯」のような交代には驚きを禁じ得ない。こんなことで国際社会における信用を得ることができるとでも思っているのだろうか。安定した国策を発信することもできなければ、それまで日本が培ってきた外交のノウハウさえ引き継がれていないように感じる。だから中国との2国間で安定して続いてきた暗黙のルールを平気で突如覆すような言動を繰り返す。これは東アジアの安定を乱すだけでなく、国際社会全体に悪影響をもたらす。
 
(4)特に前原(前)外相の責任は大きい。釣魚島漁船衝突事件に関しても、それまでの自民党だったら、どうしただろうか。あのような強硬なことはしなかったと思う。あれは中国政府にとっては大きな打撃となった。おまけに一転して釈放。中国の網民(ネット市民=ネットユーザー)は喜んだだろうが、その一貫性のなさは中国政府に対してさえ、一種の違和感を与えた。前原くみ易しという声も一部には上がったほどだ。
 
(5)中国政府は日本が思っている以上に民意を重視している。何といっても4.5億を越える網民がいる。中国の少なからぬ国民は、日本政府の不安定さと指導層の交代を望んではいない。
 
(6)なぜなら日本には「外交の軸」がないと、我々には映るからだ。これは現在の政権党(民主党)の未熟さによるものだと思われる。しかしこれは日本の「弱体化」として国際社会に映る。深刻なのは、この「外交軸のあいまいさと揺れ」が、結果的に日中両国関係と国民感情の悪化を惹起しているということだ。日本の執政党は、このことに気がつかねばならない。
 
 私はこの回答に圧倒された。
 何とまあ、痛いところを突いた、インパクトのあるコメントだろう。
(略)
 中国のネット空間では日本の危機管理能力を高く評価する声が多い。ここまでの大きな規模の災害であるなら、ふつうなら数万、あるいは数十万の犠牲者がいてもおかしくないところだと日本を絶賛している。中国は日本に学ぶべきだという声もある。日本が示した危機管理のノウハウを東アジア諸国で共有して互いに協力し合うのは非常に有意義なことだ。
(略)