TPPの残り22項目

2011年3月7日(月)
構図「製造業vs.農業」の目くらまし効果
問題は「24分の2」に矮小化、残り22項目の議論を聞いたことがあるか
三橋貴明
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110303/218708/?rt=nocnt
(略)
 
 そろそろお気づきの読者も増えているかとは思うが、実は日本における「TPP(環太平洋経済連携協定)問題」とは、農業の問題でもなければ、家電や自動車などの輸出産業の問題でもない。ついでに書くと、日本にとってTPPとは、実は関税の問題でさえないのだ。
(略)
 異常といえば、そもそもTPPとは、既に存在している協定なのだ。すなわち、ブルネイ、チリ、ニュージーランドシンガポールの4カ国が参加し、2006年に発行した貿易協定こそがTPPなのである。

 TPPが存在する以上、当然ながらTPP協定の規約も実在していることになる。(当たり前だ)ちなみに、TPPの原文(英語版)は以下で読むことができる。

【TRANS-PACIFIC STRATEGIC ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENT】

 不思議なことに、首相が「平成の開国」と言い出してから半年以上が経過しているにも関わらず、未だにTPPの日本語版が公開されない。日本国民は、原文を自国語で読むことなく、「平成の開国」というスローガンを信じ、TPPへの参加を決断しなければならないのだろうか。

 TPPとはそもそも、
「例外品目なしで、100%自由化を実現する過激なFTA
 である。
(略)
 繰り返しになるが、問題なのはTPPの現行規定でもなければ、アメリカの構造改革要望でもない。この手の情報をひた隠しにし、「平成の開国」などというスローガンでことを進めようとする現行政府の手法だ。

 そして、TPP問題を「農業 対 製造業」と、矮小化したスタイルで国民に意識させようとする、メディアの報道姿勢である。農業及び製造業「以外」の部分。すなわちTPPの作業部会の「24分の22」について、ほどんと報じず、論じず、日本社会の構造が大きく、しかも悪い方向に変わってしまったとき、果たして現行政府やメディアは日本国民に対してどのように責任を取るつもりなのだろうか。