2011年02月10日 21:31
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51676215.html
三菱電機とテレビ局の八百長
読売新聞によれば、三菱電機東芝がDVR(デジタル録画機)でCMをカットする機能をなくす方針だという。三菱については他社も確認したようだ。これはつまらない事件だが、日本の会社がなぜだめになるかをよく示している。

欧米では、テレビはすでにオンデマンドで見るものだ。ケーブルTVやISPがテレビ番組をサーバに蓄積するネットワークDVRのサービスをしており、DVRはもう絶滅危惧種である。ところが日本では、最高裁が「自分の機材で自分が見るだけでも自動公衆送信だ」という判決を出して、個人のDVRで録画するサービスも禁止してしまった。

録画するとCMがスキップされるのはVTRのころからあった現象で、今に始まったことではない。CMカット機能をなくしても、視聴者がCMを見るようにはならない。いちいちCMをスキップする手間が増えるだけだ。本質的な問題は、リアルタイムで番組を流して見たくもないCMを無理やり見せるという民放のビジネスモデルがもう破綻していることなのだ。

デジタル技術のイノベーションによって古いビジネスが成り立たなくなる現象は、あらゆる産業で起こっている。音楽のネット配信によってCDが売れなくなったとき、日本の電機メーカーはレコード会社に遠慮してネット配信を制限し、アップルに敗れた。ユーザーを不便にして競争に勝つことはできない。変えなければならないのはDVRの仕様ではなく、民放のビジネスモデルである。

顧客を犠牲にしてテレビ局の既得権を守る三菱電機は、負けるべきものを不正に延命して仲よく自滅する日本社会の八百長的構造の典型だ。顧客の対抗策は、こういう企業をボイコットして顧客を無視する企業は生き残れないことを示すしかない。