巨大化大好き日経新聞。鉄鋼再編で大喜びの図w
おまえは合体ロボマニアかと。

2011年2月14日(月)
新日鉄ですら再編」の衝撃
住友金属工業と合併へ
秋場大輔(日経ビジネス編集委員
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110210/218395/
新日本製鉄住友金属工業が2012年10月をメドに合併する方針を固めた。グローバル競争に備えた再編がもたらす影響は鉄鋼業界だけにとどまらない。「新日鉄ですら再編する」。そんなメッセージが産業大再編に拍車をかける可能性も。
 
 2008年4月に新日本製鉄社長を現職の宗岡正二氏に譲り、会長に退いた三村明夫会長は強気で鳴らす経営者として知られる。その三村会長は禅譲後に起きたリーマンショック以降、パーティーでこう挨拶をすることがある。

 「大変な時代になったと言いますけれど、僕は今の経営者がうらやましくて仕方がない。こういう時代にこそ舵取りをしてみたかった」

 三村会長からバトンを受け継いだ宗岡社長は、しばしばこのセリフを横でじっと聞いているという。その宗岡社長が「大変な時代」に出した結論は、住友金属工業との合併だった。

 2002年に提携をして以降、資本・業務の両面で関係を深めてきた両社の経営統合は、「いずれ…」と鉄鋼業界でささやかれてきた話ではある。ただ関係者が一様に口にするのは「こんなに早いとは思わなかった」という感想だ。


マツダ関係者「参ったな…」

 「競争力をつけてくれるのは歓迎だ」。新日鉄と住金の合併方針が伝わった3日午後、マツダの尾崎清専務はそう語った。しかし別のマツダ関係者は「参ったな」とつぶやく。

 マツダは購入する自動車用鋼板の4割弱を新日鉄と住金からそれぞれ調達する。この2社が合併すれば、調達比率は約75%となり、寡占化が進む。

 3日の記者会見で新日鉄の宗岡社長は「顧客への交渉力を強めるための合併ではない」と言い切った。しかしマツダが鉄鋼メーカーとの価格交渉力を維持しようとすれば新たな取引先を見つける必要も出てくる。
 
 大手商社でも、早くも憶測が飛び交っている。
 
 2002年、NKKと川崎製鉄経営統合し、JFEホールディングスが誕生。その余波で主にNKKの鉄鋼製品販売を担っていた丸紅と、川鉄を主力取引先としていた伊藤忠商事の鉄鋼製品部門は経営を統合し、伊藤忠丸紅鉄鋼が生まれた。その後、三菱商事と旧日商岩井(現双日)の鉄鋼製品部門が統合、メタルワンが設立されている。
 
 大手商社が繰り広げた再編で距離を置いてきたのが三井物産住友商事。物産は新日鉄住商は住金の鉄鋼製品の取扱量が多かったためだが、その新日鉄と住金が合併するとなれば対応を迫られる。「物産の鉄鋼製品部門は保守本流の1つ。住商は歴代社長がすべて鉄鋼部門出身。ほかの商社のように簡単な話では済まないだろう」。大手商社幹部はそんな解説をする。
 
 大型再編の影響が及ぶのは、こうした関連業界ばかりではないだろう。
 
 3日の会見で「かつて『鉄は国家なり』と言われたが」と問われた住金の友野宏社長は、「そんな業界ではない。ただ鉄は産業のコメではある」と発言。一方の宗岡社長は「自分たちが強くなることだけを考えているのではない。我々の経営統合を通じて自動車や家電業界、あるいは日本企業、世界の企業が強くなれれば」と語った。
 
 2人の首脳の発言は大仰とも言えない。とりわけ新日鉄東京電力トヨタ自動車と並び財界活動の中核。財界の地盤沈下が叫ばれているとはいえ、中核企業の動きはほかの企業に陰に陽に影響を与える。
 
 その新日鉄が、新興国を中心とする世界的な鉄鋼需要の拡大や競争激化に対応すべく、住金との合併に踏み切る。宗岡・新日鉄社長は「合併メリットの1つは、グローバル化を担う人材の逼迫を緩和できる可能性が高いこと」などと語り、グローバル競争に真正面から取り組む姿勢を鮮明にした。
 
 「『新日鉄だってグローバル競争は不可避と再編を選んだ』というのは産業界にとって大きなメッセージになる」と財界首脳の1人は言う。海江田万里経済産業相も「この統合は産業界全体にもいろいろなプラスの影響を与えると思っている」と語った。
 
業界再編は時代の要請
 
 昨年6月に菅直人政権が打ち出した新成長戦略では原子力発電所や鉄道などの社会インフラを主に新興国に輸出する「パッケージ型インフラ輸出の促進」が掲げられ、政府による輸出振興は新たな局面に入った。
 
 もっとも競争に臨む各社からは、「その前に再編が必要」との声が漏れてくる。原発プラントの設計・製造を手がける日本企業は3社、鉄道車両メーカーは7 社以上ある。オールジャパンで競争に挑むと大見得を切っても、どこを担ぐのかでもめているのが実情。業界再編は時代の要請でもあるのだ。
 
 いざ再編となれば、様々な不協和音が聞こえてくる可能性が高いとはいえ、再編の必然性は高まる一方で、当事者の認識も深まりつつある。そんなタイミングに明らかとなった新日鉄と住金の合併方針は、鉄鋼業界だけでなく産業界大再編時代の号砲となるのかもしれない。
 
日経ビジネス 2011年2月14日号12ページより