産業界の尻ぬぐいを国がさせられるという愚



 
民間に任せても国益を損なうという一例。
つうかそれまで手を打っていなかった経産省も同罪だけどね。

2011年1月12日(水)
レアアース巡り右往左往続く日本
山根小雪日経ビジネス記者)、北爪匡(日経ビジネス記者)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110107/217857/
(略)
 既に、経産省の懸念は顕在化しつつある。レアアースの供給不足で窮地に追い込まれた企業に、「中国は原料の安定供給や工場の用地提供などの“アメ”をちらつかせながら、日本企業への誘致攻勢をかけている」(関係者)。
 部材メーカーにとっても、中国進出には魅力がある。取引先の中国進出や、中国企業自体が有望な顧客になりつつあること、中国市場の成長を考えると、進出に食指が動くのも無理はない。
 こうした状況に経産省は、「何もかも中国へ持っていくなとは言わない。だが、競争力のある先端技術を早い段階で中国に持っていくと、知的財産の流出などにより、のちのち痛い目を見かねない」と危機感を募らせる。
 2年もすれば、政府と商社などで出資する“日の丸鉱山”がカザフスタンベトナム、インドで立ち上がる。17元素あるレアアースのすべてが、日本が出資した鉱山から、安定的に供給されることになる。それまでの間、今回の補助金で設備投資などを賄い、中国への移転を踏みとどまってほしいという思いが、420億円の補助金に込められている。日本のモノ作りの競争力を維持するための、筋の通った助成と言ってもよさそうだ。
(略)
 さらに言えば、今回の輸出制限は予想された事態。中国は急速な経済成長に伴って、インフラ整備を進めてきた。建築に必要な鉄や電線に使う銅などの使用量の増加により、価格の上昇をもたらしている。
 他方、中国政府はインフラ整備とともに、産業政策に力を入れており、ハイテク産業を国内に根づかせるための各種施策を講じている。その一環として、レアアース内需に振り向けることは当然の流れ。関係者の間では数年前から、遠からず輸出規制が導入されると言われてきた。こうした情報があったにもかかわらず、産業界は安価な中国産の集中調達に走り、政府は将来を予測した対策を講じてこなかった。
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