公然と語られるようになった覇権交代!

米国が成長し続ける前提になっているよね
そうじゃなけりゃもっと早いだろ

中国はいつ、米国を追い越すか?
(英エコノミスト誌 2010年12月18/25日合併号)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5112

今はまだ大きな開きがあるが、首位交代の日は近づいてきている〔AFPBB News
モノポリー」や「ワールド・オブ・ウォークラフト」といったゲームは、この際忘れていい。本誌(英エコノミスト)が考えるクリスマスの楽しみ方は、中国経済がいつ米国経済を抜いて世界最大の経済大国になるか推測することだ。

 企業活動を調査する民間機関コンファレンスボードは最近、中国の物価の安さを考慮して調整した購買力平価(PPP)ベースでは、中国は早ければ2012年に世界最大の経済大国となるとの予測を出した。

 だが、エコノミストの間では、PPPの算出方法について意見が割れる。また、米国の影が本当に薄くなるのは、中国の国内総生産GDP)が市場為替レートに基づく単純なドル建て換算で米国のそれを上回る時だ。

 この計算では、中国のGDPが米国の5分の2に過ぎない今、逆転する日が来るのはまだ遠い先のことに思えるかもしれない。しかし、その日は近づきつつある。

徐々に前倒しされる首位逆転の時期
 ゴールドマン・サックスが2003年に初めてBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)経済の見通しを打ち出した時、同社は中国が2041年に米国を追い抜くと予想した。今ではそれを2027年と改めている。

 また、今年11月にはスタンダード・チャータードが、2020年までに逆転が起きると予想した。これは多少なりとも金融危機の影響を反映している。何しろ、2010年第3四半期の米国の実質GDPが依然、2007年12月の水準を下回っていたのに対し、中国のGDPは同じ期間に28%拡大した。

 もし、中国と米国の実質GDPが今後、過去10年間の年間平均成長率(中国が10.5%、米国が1.7%)と同じペースで伸びていき、その他の条件が何も変わらないとしたら、中国のGDPは2022年に米国を抜き去る。

 だが、過去の実績をそのまま当てはめた推論は、将来の予測としてはお粗末だ。日本が世界最大の経済大国になると言われた1980年代半ばの予測を思い起こすといい。中国の成長率は今後、生産年齢人口が減少し始め、生産性の伸びが鈍化するのに伴って減速する運命にある。

 しかし一方では、中国と米国のドル建てGDPの相対的な推移は、実質成長率のみならず、インフレ率と人民元の対ドル相場にも左右される。生産性の急拡大が見られる新興国経済では、より高いインフレ率もしくは名目為替レートの上昇を通じて、実質換算レートが徐々に上昇していくはずだ。

 過去10年間の年間インフレ率(GDPデフレーターで測定)の平均値は、中国が3.8%だったのに対し、米国は2.2%だった。また、中国が2005年に厳格なドルペッグ制を廃止して以来、人民元は年平均4.2%上昇した。

 本誌は、読者が考える将来の成長、インフレ、為替レートの予想を入力できるオンラインチャート(www.economist.com/chinavusa)を作成した。

エコノミスト誌の予想は「2019年」
 本誌が最も妥当と考える予測は、今後10年間の年間実質GDP成長率の平均値は中国が7.75%、米国が2.5%で、平均インフレ率はそれぞれ4%、1.5%、人民元は年間3%ずつ上昇する、というものだ。そうであれば、中国は2019年に米国を追い抜くことになる(図参照)。

 もし読者が本誌の予測に異を唱え、中国の実質成長率が年率5%まで落ち込むと考えれば、(ほかの想定が不変なら)中国は2022年までナンバーワンになるのを待たねばならない。

 それでも、米国の1人当たりGDPはなお中国の4倍に上り、米国人の方がずっと豊かであることに変わりはない。しかし、だからといって、その日が来た時に中国の祝賀行事の活気が鈍るなどとは思わない方がいい。