- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2006/08/24
- メディア: 単行本
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もはや60年以上も昔となった大東亜戦争。
あと暫くすれば完全に大文字の歴史のなかに埋没してゆく。
それを意識してか最近この体験を如何に現代に生きる我々がリアリティをもって受け継いでゆくかという若手の試みが盛んなように思う。
この本は昨年話題になったらしいのだが漏れはフィクションは読まない主義なので放置していた。
しかし先日中途半端な時間ができて暇つぶしに読んでみて感心した。
この本は全体で「生き残ることをなにより大事にした祖父はなぜ特攻を志願したのか?」というミステリーになっている。
そして推理を進めて読み進んでいるうちに知識ゼロの読者でも太平洋戦争の概略を自然に理解できるように出来た学習小説になっている。
主人公を生きる目標を失った現代の典型的なワカモノに設定したのも意図的なものだ。
これ学校の副読本にも良いのじゃね?
ところで面白いのはしばしば「ニッポンマスコミ公定史観」が批判的総括の対象となっていることだ。
この作品でも朝日新聞をモデルとした特攻=テロ論を主張するテンプレ的な(あきらかに朝日)新聞記者が出てくる。
「特攻の体験は語りたくない。特にあなたには」
「なぜですか?」
武田は大きく息を吐くと、高山の顔を見据えて言った。
「私はあなたの新聞社を信用していないからだ」
高山の表情が強ばった。
「あなたの新聞社は戦後変節して人気を勝ち取った。戦前のすべてを否定して、大衆に迎合した。そして人々から愛国心を奪った」
「戦前の過ちを検証し、戦争と軍隊を否定したのです。そして人々の誤った愛国心を正しました。平和のために」
「軽々しく平和という言葉を持ち出さないで貰いたい」
[p418-419]
プロローグ
第一章 亡霊
第二章 臆病者 元海軍少尉 長谷川梅男
第三章 真珠湾 元海軍中尉 伊藤寛次
第四章 ラバウル 元海軍飛行兵曹長 井崎源次郎
第五章 ガダルカナル 〃
第六章 ヌード写真 元海軍整備兵曹長 永井清孝
第七章 狂気 元海軍中尉 谷川正夫
第八章 桜花 元海軍少尉 岡部昌男
第九章 カミカゼアタック 元海軍中尉 武田貴則
第十章 阿修羅 元海軍上等飛行兵曹 景浦介山
第十一章 最後 元海軍一等兵曹 大西保彦
第十二章 流星 元海軍少尉 大石賢一郎
エピローグ
- 作者: 神立尚紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/07/21
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