非不胎化って・・・

新聞記者より俺の方が頭がいい!と言い切るのは難しい。
少なくとも新聞には自分の知らない言葉がたくさん出てくるしお前が書けと言われても困る(T^T)
しかし新聞を読んでいると、単純に文章がおかしい、論理が繋がっていない、と感じることは良くある。
そんなとき、
(1)記者がバカ
(2)自分がバカ
のどっちかで煩悶するのだった(笑)
でもまさか天下の大マスコミ様がバカなはずはない筈だから先ずは自分を疑うわけ。
言うまでも無くこれは権威主義である。
しかし敢えて言おう、新聞記者が間違っていることは多い!
間違いが書かれている前提で新聞を読むこと。
ポジショントークのバイアスだけじゃなく、新聞記者が頭が悪いこともある、と前提すること。
これが本当のリテラシー
 
で、長々書いてしまったが、最近のヒットがこれ。

介入の非不胎化は日銀のリップサービス−効果は疑問、一段の圧力も
2010年09月16日(ブルームバーグ):
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920009&sid=aNxyVL6CoCIQ
(略)
政府は15日午前、円が一時1ドル=82円88銭と15年ぶりの高値を付けたことを受け、円売り介入を実施。午後に入ると、日本経済新聞をはじめとするメディアが、日銀が介入資金を放置する非不胎化を同時に行うことで円高阻止の姿勢を鮮明にする、と伝えた。
 三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストはこうした報道が「市場に対しては最高のリップサービスになっている」と指摘。「要するに美人投票だから、皆がそう思えば市場はそう動く。それを承知で日銀が『非不胎化』みたいなニュアンスのイメージを意図的に流しているとすれば、一応それで日銀は臨時の金融政策決定会合を開かずに済み、得点を稼いだことになる」と評価する。
 ただ、介入の非不胎化か不胎化かという議論には、懐疑的な向きも多い。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「お金に色はないので、日銀当座預金残高のどの部分が介入資金かという議論をしても意味はない」と指摘。「非不胎化介入に効果があるという見解は、現在の環境においては迷信に近いのではないか」と語る。
 
 1999年の非不胎化論争の亡霊
 
 実際、白川方明総裁は著書「現代の金融政策」で「不胎化と非不胎化の区別に意味はない」と繰り返し説明している。介入の原資となる円資金は日銀がいったん国庫短期証券(TB)を引き受けて供給するが、政府はその後TBを新たに市中で発行し、日銀が引き受けた分は速やかに償還されるため、日銀の「当座預金に対する影響は中立的であり、介入は自動的に『不胎化介入』となる」という。
(略)

 
こういう横並びの報道ってのは財務省陸海軍部発表を垂れ流しているだけと思われる。
しかしケーザイに詳しいはずの日経新聞でさえ横並びってのは・・・記者クラブの弊害というか財務省資料コピペっていうか新聞記者は気楽な稼業ときたもんだというか日経よお前もかというか虚しいなあ。
で、漏れはこの元記事を読んだとき意味が分からなかったのだ。おかしくね?と思った。
  

政府が為替介入をした×日銀はTB買い上げしなかった=非不胎化⇒円安誘導

と言いたいらしいのだが、

政府がTBを売り円をゲット⇒ゲットした円でドルを買う⇒市中でドルが減りTBが増える

としたらTBとドルを交換したのと同じで事務作業は別にして日銀関係ないじゃん。
吸い上げた円とTBは同額なんだから総量一定の中で円とドルを交換しただけの話。
問題は日銀がTBを買い上げるかどうかじゃなくて、政府償還するかしないかじゃね?
政府TBを日銀がお札を刷って購入しそれを以って為替介入した、となれば通貨量増だもの。
つまり金融政策(お金をどのくらい刷るか)と「非不胎化」議論は直結していない。
と思っていたら高橋洋一先生のコラムでドンピシャな指摘があった。
お、俺って日経新聞の経済記者より頭いいのか???(笑)
   

しかも、1999年まで、政府による為替介入の原資になる外為証券は、事実上全額日銀引受であった。このため、政府による為替介入は自動的に日銀信用増となって、原始的な通貨増と同じである。
 ところが、2000年から外為証券は市中公募となって、日銀信用増にはならない。この意味では、今の日本は、日銀が何もしなければ、「不胎化」、steralizeとなる。政府にとっては、外為特会で一種の国債を発行して外貨債を購入する、いわば「円キャリーファンド」だ。そのオペレーションに日銀を使っているだけで勘定は、政府の外為特別会計である。金融政策に影響のある日銀の勘定は無関係だ。
 この点、19日の日経新聞は、為替介入で「財務省が日銀から円資金を借り」と書いており、事実関係として間違っている。このため、その後の記述もちぐはぐになっている。
(略)
 それも、日銀による通貨増の不足で、他国通貨に対して高く(円高)、自国財・サービスに対しても高く(つまりデフレ)となっている。デフレと円高はコインの裏表の関係なのである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1220?page=2

 
追記)
なんかいい図がないかなと探していたら『美人女子高生Mのブログ』ってのを見つけた。
ドラッカーとか読んでいるイヤな女子高生かしらw
で漏れとは違う結論になっているんだが、その原因は美人女子高生MさんはTB=日銀引受という1999年までの世界を前提に書いているからなんだね。下記の図でTBの引き受け先が民間金融機関だったらどうだろう?TBを通じてお金を出し入れするだけじゃ総額変わらないよね。だって日銀がお札を刷ってばら撒くというプロセスが無いんだもの。それが高橋先生のいう「通貨不足が円高・デフレの原因」ということです。悪の根源はシラカ〜ワ!ということでFA。
 
http://d.hatena.ne.jp/Mchan/20091018/1255889794