アメリカン・ドリームという悪夢

   

   
漏れの心酔する藤永茂先生の最新作。
   

被害者としての我々が示す、アメリカ合州国のたび重なる暴行に対する、正当化しがたい寛容さとあれこれの誤判断を、私は、いささかの自嘲を含めて「フルブライト症候群」と呼ぶ。(略)私たちが「フルブライト症候群」からきっぱりと脱却するためには、アメリカ合州国の歴史を正しく学び直す必要がある。(略)ただ、その際の心がけとしては、右翼的な傾向の歴史書も左翼的な傾向の歴史書も、はじめから固定観念や偏見を持たずに読んでみることを心がけなければならない。[p221-222]

二一世紀初頭の現時点で、我々一般の日本人がアメリカという国の政治形態の実態をイメージする場合、まず、「アメリカ合州国は民主主義形態ではない」という認識から出発すると万事がはっきりする。次に、アメリカ合州国は、建国以来、下層民を除外した共和主義政体を目指したのであって、民主主義の完全な実現を求めてきたのではないことを把握するとよい。[p225]  

1926年長春生まれ!!
物理学者だったのに文学社会科学での着を重ね84歳の現在もブログで活発に意見表明されている。
なんというか、ブレブレの漏れの世界史観をある視座から明晰に解剖された。
侵略〜奴隷〜偽善、もうひとつの可能性
アメリカ合州国アメリカ先住民、カナダという視角から透写して余すことがない。
それは著者が『闇の奥』批判で剔抉したもう一つの"暗黒"大陸での白人の所行と合わせて、
大航海時代から近代まで、欧州〜米国・アフリカ〜アジアまで、時間・空間を統合しもうひとつの世界史を鮮やかに認識させる。
変な感想だけど物理学・科学哲学の本を読んでいるようだった。
奴隷という変数によって前近代から新帝国主義の現在までを貫く数式を発見したような。
そしてそれは局外から眺めるようなものではなく、東アジアのインディアンである日本人の漏れにとって非常に非常に重い認識だった。
あまりに根本的な視角なため、とても簡単には論じられない。
 
漏れがよく思うこと。
ウヨクは中国の侵略や中国人移民問題ばっかりわーわーいうけど、侵略移民(棄民)なら遥に白人が悪質なんだということ。
北中南アメリカもオーストラリアも白人の土地じゃない。
なんで中米に赤人がいないで白人と黒人しかいないのか。
中国人移民は奴隷を連れてきたことはない。
移民の持ち込んだ病原菌によって原住民が減少なんてあたかも偶発的惨事みたいに言うけど、彼らは病原菌を兵器に使うことを知っていた。
病人の使った毛布を敵陣に投げ込むなんてやってた連中だ。
(書きかけ)
   
追記)
ところで最初長春っていうな、新京だろ!とか思ったけど、考えてみれば1926年は新京になるまえだったのでした。