週刊金曜日(5/1.8合併号)

   

   
残念なことにAMLが廃刊?されてしまったので、最近はサヨク周りのことは週刊金曜日でチェックしている。
憲法記念日サヨク業界では一大イベントなので今週号は興味深く待っていたのだが、正直がっかりであった。
ただ最近の「保守」業界での議論を受けた形で、以前とは論点が変わってきたのはおもしろかった。
つまり、「天皇制」を批判するのに、
・「親米保守」というのはおかしい!×日米安保を容認したのは昭和天皇だ!=天皇はおかしい
という宮台はじめ「保守」派からの従米批判を取り入れていることだ。
そのうえで憲法改正天皇条項ならいいんじゃね?(纐纈厚)というのは佐藤優の裏返しだね。
御聖断は嘘だ!(小森陽一)はとくに新しい情報ないお約束。
匿名座談会はワイドショーレベルで読む価値無し。
さらに憲法特集と銘打ったわりには九条を生かす云々は普通に”九条教”の活動報告しか無くて肩すかし。
これって本当は(反)天皇特集したかったのにビビったせいなのかな?
      
漏れは歴史好きの皇室支持者なので最初から立場が偏っているけど、この反天皇理論って論理として成立しているか読んでいて疑問に思った。
というのは今上天皇への批判の根拠がほとんどなく、制度としての「天皇制」ではなく個人としての「昭和天皇」にしか因縁つけられていないのだ。
それに反昭和天皇だとしても「昭和天皇は国民のためではなくて国体のために米国に日本を委ねた」というのが批判理由らしいのだが、しつこいほど「国体=三種の神器」と書かれていて、あたかも骨董品と皇室制度のために日本国を裏切って日米安保を締結したようにいうが、単純な問題として「国体」って骨董品そのものじゃなくて日本の国柄のことじゃね?それなら国体護持は日本国のレジティマシー維持というだけで当たり前じゃねえの?という疑問と、天皇が望めば国会も首相も政府も通り越して日米安保が結べるの?買いかぶりじゃね?という感想をもった。それに後者は自分でも書いているけど、冷戦下に再軍備を拒否して生き残るための唯一の回答だったと思うので、それじゃ殆どの日本人は昭和天皇の判断を支持するんじゃね?と思った。週刊金曜日的には日米安保拒否して日本軍再建のほうがよかったと言う訳じゃないだろうから、全面講和・非武装が良かったと言いたいのかな?それを大きく掲げない限りオルタナティブ無き批判になっちゃって、反天皇特集組むにしては迫力無いなあというのが正直な感想。
むしろ、その後の反ネット右翼分析(能川元一)で、漏れにもおなじみの有名ブロガーや嫌韓流を取り上げて(^_^)、最近のウヨクには天皇という存在は必須ではないという分析をしていることのほうが興味深かった。漏れもまったく同感だな。鶴見俊輔がいうように今上天皇こそ最大の護憲派だものね。でもそうするとその線からの憲法問題としての反天皇というのは成立しないわけで、これって自分自身の特集を無化してね?ψ( `∇´ )ψ
  
追記)
と、文句はいろいろいうものの、言論の「多様性」のために貴重な雑誌なのでamlみたいにならないように頑張って欲しいのだが、週刊金曜日って公称3万部なんだね・・・仮に70%本当だとして2万部。500円/冊だから年間5億円の事業ということになる。ぺらぺらの用紙に薄謝だからなんとか保っているのだろうけど、心許ないことおびただしい。仮に年間購読しても2冊分しか安くならないので2万3千円、カンパにしてもちょっと高いかなあ。。。
   

憲法特集号

特集 天皇
 
 昨年の「御在位二〇年」、そして今年の「御成婚五〇年」と、マスメディア演出による「天皇キャンペーン」が続いている。そこでは常に天皇・皇室がこの国の民と「苦楽を共にし」、国家の存続にとっても欠かせないかのような一見「ナショナリズム」の装いを凝らした意識が流布されている。
 だがそこでは、他国に比して「誇るべき歴史と伝統」を有しているはずの国家が、一方で「思いやり予算」や沖縄の基地問題に象徴されるように外国軍が意のままに振る舞える従属構造に甘んじている矛盾は、なぜか語られることはない。属国という本来最も「ナショナル」な価値から程遠いはずの境遇にありながら、それでも建国神話に権威を求める「万古不易」の天皇制が「誇るべき歴史と伝統」の核であるかのように今でも信じ込まれているこうした倒錯こそ、戦後における欺瞞の最たる現れだろう。
そして天皇制条項が憲法の第一条から八条まで並びながら、この憲法が「国民主権」をうたっていると解釈するような別の倒錯も存在する。
 こうした無自覚性が、結局は天皇を国家機構の中の一人の政治主体として検証する努力を妨げてきた。昭和天皇の戦争責任が問われ始めるまで、敗戦から一五年以上も待たねばならなかったのはその証明だろう。そして「平成」の代替わりから二〇年以上たっても、冷戦が深まっていく占領期に昭和天皇が演じた「二重外交」こそ安保条約に象徴される属国化の起源だったという事実は、あまり知られていない。今、戦後史の闇に潜む昭和天皇の歴史的責任と、改めて天皇という制度を問う。
   
■その一
戦後史最大の空白・占領期の「二重外交」の帰結
昭和天皇と安保条約
  
豊下 楢彦関西学院大学教授に聞く
聞き手 成澤 宗男(編集部)
 
戦前の戦争責任が曖昧にされたまま、昭和天皇は戦後も歴史的な「戦後責任」を記していた。
冷戦の進行に伴う「共産化」の恐怖に駆られ、米軍をこの国に無条件的に駐留させる安保条約を締結することで、「国体護持」のための新たな切り札にしようとしたのだ。しかもそうした「外交」は、現憲法下で「象徴」になりながらも続けられた事実がどこまで知られているだろうか。
 
■その二
憲法第一章はなぜ「天皇制」なのか
「御聖断」神話と“第二の罪”
纐纈 厚
 
戦争が終わったのは、天皇の「御聖断」のおかげとする神話が罷り通ってきた。
国民の側にも天皇の「開戦責任」「戦争責任」を問おうとする意識は希薄だった。
戦後教育でもアジア諸国にたいする戦争責任はことさら回避されてきた。
そのことが歴史認識を枉げる{第二の罪}を生んだのだ。
 
■その三
「国体護持を抱きしめた」戦後という時代
昭和天皇と国民の無責任
小森 陽一
 
東京国際軍事裁判で訴追されず、戦争責任を問われなかった昭和天皇
にもかかわらず、「責任はすべて私にある」とのフィクションを流しつづけた。
原因と理由を曖昧にすることで、戦争責任・戦後責任は封印された。
日米トップによる高度な戦略を読み解く。
 
■その四
匿名記者・編集者座談会
天皇・皇族報道について考える
  
天皇皇后「ご成婚」五〇年の四月一〇日、新聞・テレビ・雑誌の多くに「奉祝報道」があふれた。
報道に携わっている記者や編集者たちは、どのような思いでいるのか。率直に話し合ってもらった。

ネット右翼」と天皇制(能川 元一)
若者に根付く「民族排外主義」の牙が向かう先
  
憲法を伝える、活かす、わたしのアイデア 2009
憲法カフェ/9条バンク運動/九条麺(久保 真人)
9条スプーン/戦争の放棄(宮本 有紀)
  
創られた神々 海外神社の現在(写真・稲宮 康人)
  
イラク派兵の検証を(池住義憲)
弁護団と市民団体が麻生首相に要請
  
KONAMIが「ファルージャ侵略」をゲームに(古川琢也)