バークの見抜いた国家、民族の「鋳型」

  

 バークは、既存の国家制度に一切手をつけるべきではないという頑固者ではない。時代の変化にともなって、国家制度を改良するのは当然のことであるとバークは考える。しかし、それによって既存の国家制度がまったく陳腐なものとなってしまい、捨て去られるということではない。ここにバークの保守思想の特徴がある。
 バークの保守思想は、実は近代が生みだしたものなのである。
[p222]

日本国史を一貫した民族精神は神道である
 
 日本において、ユダヤ人が光の表象でとらえた国家と民族の成り立たしめる根拠は、神道にあたる。
[p227]

第二に、伝統的学問の精神から切り離された革命派の科学について、バークは「なまいきな無知(presumptuous ignorance)」であり、革命派の人間性は、「野蛮で残忍(savage and brutal)」であると特徴づけている。それは、革命派が自由の意味を理解していないからである。自由とは、代替不能な個性をもった、すなわち解消できない差異をもつひとりの人間が、他者の固有性を尊重する寛容の精神のもとでなりたつものなのに、革命派は寛容でないからだ。バークは「彼らの自由は寛容ではない(Their liberty is not liberal.)」と特徴づけるが、実に優れた洞察だ。