安倍政権

         

今回の、「従軍慰安婦」騒動は、日本を中国にぶつけて、中国と日本を喧嘩(けんか)させ、いがみ合わせようとする、アメリカ政界のネオコン派の残党の最後の足掻(あが)きだったようです。
             
 中国が、その手には全く乗りませんでした。今回の中国政府の対応は際立っています。それと、シンガポールの実力者のリークワンユーの息子の、リー・シュエンロン(李顕龍)首相の、日本への理解ある発言がすばらしかった。
            
今回は、中国政府が、安倍首相の「慰安婦問題では、当時の日本政府(日本軍)には、狭義での強制性はなかった。証拠となる文書は見つかっていない」という3月1日の首相発言が、世界中に広げた波紋について、日本政府に理解し同情する態度を取っている。ここが一番注目点すべき点である。 
        
 アメリカの中国への対応が、ガラリと変わった、ということが背後にある。このことが、これから先の東アジアの政治を決定的に動かしてゆくだろう。 これ以上のことは、私は今はここでは書きません。
              
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ただし、安倍首相は、今後、アメリカの対して、「あんまり日本をいじめると、もうお金(あれこれの対米協力の資金)を払わない」という態度に出る。すでに出ている。だから、安倍政権は、やがて倒れるだろう。それでも、日本の財界が全面支援している。
      
 安倍政権は、世界に向かっての、日本国の態度で、大きな路線転換(態度の変更)を実現した政権として後世に語られるだろう。それは、戦後62年間で初めて、アメリカに、堂々と文句をつける政権となったことである。日本をよいように扱って甘く見たアメリカ政府の方が、今後、日本の協力を得ることが出来なくなって、あれこれ困ることになる。
     
 つい最近、隠されたあるひとつの重大なアメリカ政府の態度変更がありました。北朝鮮の管理権も中国に投げ渡したようだ。このアメリカの急激な動きに東アジア全体が揺さぶられている。 東アジア全体を、アメリカが中国に放り投げる、という決定をしたことの兆候と余波として、今回の従軍慰安婦問題のむしかえしはそれなりの意味を持ったのである。これ以上のことは私は今は書きません。
     
URL:http://snsi-j.jp/boyakif/diary.cgi?start=1&pass=

佐藤優の世界を切る】安倍政権の歴史認識 東京大空襲の見解で米国に毅然
            
FujiSankei Business i. 2007/3/29
         
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 これに対して、3月23日、政府は安倍晋三内閣総理大臣名で「当時の状況についてはさまざまな見方があり、お尋ねの東京大空襲は、当時の国際法に違反して行われたとは言い切れないが、国際法の根底にある基本思想の一たる人道主義に合致しないものであったと考えられる」という答弁書閣議決定した。筆者はこの内容を高く評価する。安倍内閣対米追従であるという見方は浅薄だ。アメリカ政府が東京大空襲について「国際法の根底にある基本思想の一たる人道主義に合致しないものであった」という認識を示すことはありえない。同盟国であっても完全に一致した歴史認識をもつことは不可能だ。
                           
 マスコミは扱わないが、安倍内閣は過去の歴史についてもっと踏み込んだ見解も表明している。鈴木宗男氏が43年11月3日の大東亜宣言について、「大東亜宣言には、『米英は自国の繁栄のためには他国家他民族を抑圧し特に大東亜に対しては飽くなき侵略搾取を行ひ大東亜隷属化の野望を逞うし、遂には大東亜の安定を根柢より覆さんとせり』との文言があると承知するが、政府はこの認識を現時点でどのように評価しているか」とただしたのに対し、政府は2006年10月6日の内閣答弁書で「御指摘の文言は、会議の参加国が当時における認識を示したものであると考える」と答えている。大東亜宣言に署名した、大日本帝国中華民国汪兆銘政権)、タイ国、満州国フィリピン共和国ビルマ国が米英は侵略国であるという認識をしていたと、現在の安倍内閣が確認しているのである。この歴史認識アメリカが同意することは絶対にないと思う。
                        
 現在、アメリカ議会で慰安婦決議が問題になっているが、事実誤認に基づく反日キャンペーンについて、日本政府がき然たる姿勢で反論することは当然のことだ。ただし、慰安婦を含む戦争に関連した歴史認識問題に日米共通の認識をつくることができるという幻想はもたない方がよい。筆者は安倍内閣は本格保守政権と認識している。それは、質問主意書に対して、ときにアメリカの基本的な歴史認識と衝突するような内容でも、ひるまずに答弁し、日本国家と日本人の歴史を取り戻すことに貢献しているからだ。この点についてマスコミが公平な評価をしないことに筆者は違和感を覚える。
                     
URL:http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200703290005o.nwc