煽られた日本企業

   
「中国に乗り遅れるな!」とこの10年くらいの日経をはじめ経済各誌は散々煽ってきた。
しかし中国はカントリーリスクが高く国内市場は未成熟である。販売だけなら輸出すればよい。
実態としては安い人件費だけが中国の利点なのだ。つまり中国は労働力輸出国なのだ。
(土地が輸出できるのと同じ意味で労働力は概念的には輸出できる。)
      
切り上げ反対派日本企業(輸出企業?)は5〜15%元高で採算割れするという。弱っ!
ところが比較的穏便な見方でも40%元高が適性と見ている。
中共当局は収支均衡は6〜10%と見ている。
ということは40%元高で中国は赤字国家に転落する可能性が高い。
そのときには労働力目当ての企業は逃げ出すことになる。
      
ヘタレ米国は措くにしても、日中貿易は、
      
(第1段階)安価中国製品輸入急増
(第2段階)経済発展に伴う産業機械類輸出急増で収支均衡
(第3段階)利点消滅で内需前提の定常状態
      
ちなみに日中日韓貿易があるから日本は行動を自粛すべきだという意見があるが、これは話が逆だ。現段階では日本のほうが立場が上なのだ。中国はどうしても日本から設備類を買いたいのだ。韓国も日本を上工程とした加工貿易構造だから同様。もし政経リンクを言うなら、中韓側こそ貿易のために行動を自粛しろということになる。こういう一見もっともだが突っ込めば崩壊するロジックを持ち出すのは迷惑な話である。
      
『国富消尽』のなかで吉川さんは中国の
      
それにしても日本の経営者ってのは日経やらダイヤモンド程度の経済誌しか読まないのだろうか?(皮肉じゃなくて率直な疑問)
      

対中輸出伸び率減 拡大一辺倒から転換 ジェトロ調べ

2006/3/14
 
日本貿易振興機構ジェトロ)が十三日、発表した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、反日デモ直後に落ち込んだ中国への投資意欲は回復しつつあるが、拡大一辺倒だった中国投資、中国貿易が転換点に来ていることが浮き彫りになった。
 
同調査はジェトロの会員企業のうち、製造業、商社・貿易、卸・小売業に該当する二千五百八社を対象に実施し、七百九十六社から回答を得た。有効回答数は31・7%。
 
回答企業の86%が中国との取引があり「対中ビジネスの拡大や新規ビジネスを検討している」企業は69・8%(五百五十六社)と〇四年の前回調査に比べて7ポイント減少したが依然として水準は高い。
 
一方、「縮小・撤退を検討している」企業は0・9%、「今後、ビジネス展開を行わない」企業は8・0%と前回調査に比べて増加した。
 
この数字を昨年五月に実施したデモ直後の緊急アンケートでみると、反日デモ直後は、「対中ビジネスを拡大する」との回答は53・5%にとどまっていたが、今回調査では75・3%に改善している。実際に、昨年下期以降、自動車部品などの進出が加速し、〇五年の対中直接投資の伸び率は金額で12・0%増となった。
 
〇五年の対中輸出の前年同期比伸び率は、現地生産と、部品の現地調達率が高まったことから、8・9%と〇四年の29・0%増から鈍化した。〇六年の対中輸出の伸び率が〇五年の伸び率を上回ると見る企業は、45・4%と過半数を割り込み、現地生産がさらに進み、伸び率はさらに縮小する可能性が高い。
 
昨年七月に実施された人民元の切り上げの影響は、切り上げの影響がマイナスに働くとの回答企業(百五十社)のうち、42・0%が「5%から15%未満」で採算割れすると回答している。
 
採算が取れなくなった場合の対応策では、複数回答で「コスト削減に努める」が46・0%でトップだが、「生産拠点を中国から第三国に移転する」との回答が17・3%、「生産拠点の縮小、撤退」が9・3%と、対中ビジネスを見直すとの回答も目立った。
 
URL:http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200603140009a.nwc

人民元問題の論点整理
 
(1)人民元は割安になっているか
 
人民元は「均衡水準」からどのくらい割安であるか、言い換えればどの程度の切り上げられるべきかについて意見が分かれている。しかし、そもそも一般論として、為替の均衡水準がどの要因によって決められるかに関しては、学界においてもコンセンサスはできていない。
 
円ドルレートのように、先進国間の均衡レートを考えるときに、購買力平価(PPP)は一種のベンチマークとなるが、物価水準の低い発展途上国にはそのまま当てはめることができない。これを考慮したうえで、ボズワース氏は中国と同じ発展段階の国々とを比べても、PPPの基準から人民元が40%ほど割安になっていると推計している。一方、中国社会科学院は、対外収支がバランスするように均衡レートが決められるという考え方に基づくモデルを使って、人民元レートが6〜10%ほど割安になっていると推計している。
 
人民元の均衡レートを議論するときに、対ドルレートが常に焦点となっているが、ドルが円やユーロなど主要通貨に対して大きく振れている中で、ドルにペッグしている人民元の実効為替レートの大きな変動は避けられない。2002以降のドル安傾向は、人民元レートを均衡水準から乖離させる要因になっている。
 
TITLE:中国経済新論-世界の中の中国
URL:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/040922world.htm

米中・日中間の貿易不均衡の実態
― 香港経由の中継貿易を考慮して ―
  
・・・
  
香港経由の中継貿易の重要性に加え、1997年の返還を経て香港は名実とも中国の一部になったことを考えれば、日米の対中不均衡を考えるときに、対中国本土だけでなく、対香港の分も合わせた対中華圏の規模が、より参考になるだろう。2005年、米国の対中華圏の赤字幅は1942億ドルと対中国本土の数字とほとんど変わらない。一方、日本の対中華圏の貿易収支は、対香港の黒字が対中国本土の赤字上回っていることを反映して、小幅ながらも59億ドルの黒字となっている。
    
このように、輸入側の統計に基づく試算と、香港を含む中華圏の数字のいずれも、米中間の貿易収支はおおむね米国側の発表の数字の通り中国側の大幅な黒字になっているが、日中間の貿易収支はほぼ均衡しているという実態を示している(図1、図2)。
   
TITLE:中国経済新論-060224実事求是
URL:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/060224-2ssqs.htm

国富消尽―対米隷従の果てに
 
吉川 元忠 (著), 関岡 英之 (著)
 
単行本: 299 p ; サイズ(cm): 19 x 13
 
出版社: PHP研究所 ; ISBN: 4569644686 ; (2005/12)
 
目次
 
第1章 着々と進む日本企業買収の環境整備―二〇〇五年M&A狂騒曲の教訓
第2章 外資によるM&Aの新時代―危機に立つ日本的経営
第3章 郵政民営化の真実―狙われる日本の個人金融資産
第4章 深く静かに進む米国の日本改造―司法・医療・教育まで米国化されるのか
第5章 アメリカの対日圧力を振り返る―アメリカ型システムの押