大東亜会議の真実

大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書

大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して PHP新書


良い意味でも悪い意味でも日本人は帝国主義に向いていないなあという読後感。
この本は大東亜戦争時の国際情勢を生き生きと描いているという意味で高校生にお勧めの本だ。元の本の出版当時深田はサヨクから脅迫されたそうだが、とくに右派に偏っているわけではなく、左右両面から読み解くことができる資料的な価値の高い本だと思う。
以前から言われていたことだが、東條英機って個人的には悪い人じゃなかったんだろうなあと思った。指導者に向いていなかっただけで。。。(それが大問題なんだけど)サヨクは日本軍国主義の悪魔の総大将に擬したいのだろうけど、知れば知るほどそんな御大層なものじゃありません。すいません。という気になる。それに比べて独立運動の志士たちの人物の大きいこと。日本を貶すのはいいけど、アジア独立運動家たちに日帝傀儡というレッテルを貼るのは許せないなあ。
独立運動家の中でも汪兆銘ほど誤解されている人はいない。911年から53年に至る中国大陸争奪戦というのは米ソ日の代理戦争であってソ連の傀儡の毛沢東一派が漁夫の利を得たに過ぎないという視点が欠けていると理解できない。汪は白人植民地主義共産主義の双方の危険をよく認識していた。後知恵でいうならまさに汪の懸念は正鵠を得ていたわけで、問題は日本帝国主義が「反帝反スタ」の立場を明確にせず、侵略者なのか同盟者なのかハッキリさせられなかったことだろう。戦術に強く戦略に弱い・・・日本人の宿痾だ。(´Д⊂ヽ