10月、アップルはソンマサヨシを取るか実益を取るか

Close-Up Enterprise
【第59回】 2011年9月20日 週刊ダイヤモンド編集部
猛追サムスンを潰しにかかるアップルの容赦なき知財戦略
http://diamond.jp/articles/-/14067


(略)
 これだけ容赦なく知財戦争でサムスンつぶしにかかっているアップル。さらに国内端末メーカーが恐れおののく奥の手を秘めている。それが10月にも発売といわれるiPhone5の複数キャリア投入だ。

 アップルは過去、iPhoneを扱える通信キャリアを原則1国1社に絞る戦略を採ってきた。日本のパートナーは孫正義社長率いるソフトバンクだったのだが、最近になってその戦略にも変化が出てきている。現に米国ではiPhone4の販売から、複数キャリアでの投入が始まっているのだ。

「アップルにとっては、通信環境にムラがある、地方に住むユーザー獲得に追い風になる」(業界関係者)といわれている。仮にドコモやKDDIの取り扱いが実現すれば、国内メーカーのスマートフォンを使っていた顧客が、アップルのiPhoneへ鞍替えするスマートフォンの「民族大移動」が起きる可能性があると囁かれている。

 もはやスマートフォンが最先端機器ではなくなり、普及期のシェア争いも大詰めを迎えている。年末商戦に向けて、“禁じ手なし”の過酷なレースに決着がつくのは、そう遠い日ではなさそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義、鈴木崇久)