昨今の妙な裁判の進展は管降ろしに対する反撃だというのは明白だ。
大事なポイントは2つ。
・ひとつは何度でも言うがマスゴミは霞ヶ関の一員だということ。
・もうひとつは伊藤さんが語らない司令塔は米国だということ。
伊藤博敏「ニュースの深層」
2011年05月12日(木) 伊藤博敏
「陸山会公判」で追撃される小沢一郎民主党元代表の本当の敵
細川政権、民主党政権を作った立役者がいま「実力」を発揮できないのはなぜか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/4491
(略)
5月10日、小沢一郎民主党元代表の政治団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件の第11回公判で、5000万円の現金を川村尚水谷建設前社長が、大久保被告に渡す場面に同席したという日本発破技研の山本潤社長の証人尋問が行われた。
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前回公判(4月27日)で、5000万円の提供を詳細に述べた「川村証言」と平仄は合う。加えて、「山本さんに返したい」という"証拠隠滅工作"は、大久保秘書の前に胆沢ダムの別工区の受注謝礼に、5000万円を石川秘書(現代議士)に渡したという証言の真実性にも繋がるのだった。
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その直前、小沢氏を襲った司法のメスは、「小沢一郎という政治家の手法、存在を許してはならない」とする「霞が関」の総意によってなされた。
「政治主導」を「法務・検察」にまで持ち込み、検事総長の民間人起用などに言及する小沢派の議員に対する"検察の怒り"が根底にあったのは事実だが、検察だけが突出できるものではない。
むしろ「政治主導」をいいつのる民主党への不安と不満が「霞が関」の官僚機構にあり、リーダーの小沢氏に矛先が向けられたとみるべきだ。そこにマスコミが連帯した。
09年3月の大久保逮捕でいったんは下火になった小沢捜査が、同年8月の総選挙後に再燃、同じ罪で同じ政治家を狙うという前代未聞は、マスコミとの"連帯"のうえで実現した。石川逮捕につながる世田谷区の「秘書宅疑惑」は、10月にまず『読売新聞』がスクープ、他社が後追い、特捜捜査とマスコミが連携したことで、小沢事務所は追い詰められた。
小沢氏は、政治改革を成し遂げるうえにおいて、官僚機構の弱体化を本気で考えた。それは、戦後の権力の所在が、官僚機構及びそれと記者クラブ制度を通じて一体化したマスコミにあることを知っていたからだ。
すでに、小沢氏を軸とした「政治主導」は、財務省に取り込まれることによって有名無実化、事務次官会議の廃止も、天下り規制も、郵政民営化も、政府系金融機関の統廃合も官僚によって押し戻された。
その動きを加速させたのが3・11の大震災である。
(略)「水谷建設からの裏ガネ1億円」は、裁かれている政治資金規正法違反事件とは何の関わりもない。単に悪質性を知らしめようとする検察の戦略でしかない。
だが、その戦略は効果がある。
1億円証言のあった4月27日と5月10日は、小沢氏が「菅降ろし」を標榜、親密な議員たちに"檄"を飛ばしている時である。ところが、いかに実力派でも、法廷で汚れたカネの流れが明かされ、刑事被告人という立場を免れない小沢氏が政局の主導権を握るには無理がある。
小沢氏をどこまでも追いかける不運。そうしたのが復権著しい「官」の世界とするならば、日本の資本主義は、国際競争力を奪う電力料金の値上げで賠償費用を賄おうとする東電処理が象徴するように、競争力を失って緩慢なる死を迎えることになりそうだ。