中国の狙いはトヨタのハイブリッドだ

所詮財界の学級新聞と言われた日経の解説がさいきん鋭いのでびっくり。
尖閣諸島の問題では最初から正論を吐いている。
ソエジー的にいえばアメ公の差し金ということなのかもしれないが、それでも過度に反中というわけではなく妥当な分析だと思う。敢えて書かない結論は「日本の軍事力強化⇒対中交渉力向上」なんだけどね。
 

 

 

(日経10年09月26日)
 世界各地で生産が本格化する2012年には、希土類の供給は潤沢になる。中国の市場支配が続くのは、あと1年と見てよい。圧力手段としての有効期限を知っているからこそ、中国は、その効力を今、使おうとしているのではないか。
 あえて中国の急速な動きを〈焦り〉と解釈すれば、外交戦略の裏側にある本音が見えてくる。圧力をかけて手に入れたい果実が、思わぬところにある。
 
 今年1月、中国は外国の省エネ車メーカーに対する市場への参入規制を改訂した。合弁企業での現地生産を認める審査基準として、駆動装置の中核技術の開示や、中国側による設計変更の権利を定めた。
 狙いはトヨタ自動車のハイブリッド技術だろう。同社が最新型〈プリウス〉の吉林省長春での生産を予定しているからだ。トヨタ中国当局に計画を申請したのが2月。審査結果を待つ間に希土類(レアアース)の輸出制限が始まり、同社に部品供給する無数の企業群を、じわじわと締め上げていった。
 あぶり出されて泥沼にはまるか。巨大市場を断念するか。日本の貴重な資産である企業の技術を守るのは、政府の外交力しかない。

 
追記)
言ってる傍からこんな話題
 

【 2010年9月27日 セメントを透明な金属にする夢さらに前進 】
http://scienceportal.jp/news/daily/1009/1009271.html
 
液晶ディスプレイなどに欠かせない透明な金属の代わりになり得ると期待されているセメントに似た化合物(12CaO・7Al2O3)が、金属のように電気をよく通す理由を東北大学東京工業大学の研究チームが解明した。
 
石灰とアルミナというありふれた物質の化合物である12CaO・7Al2O3が電気を通しかつ透明な金属になり、さらに超電導材料にもなることを細野秀雄・東京工業大学教授らが2002年から07年にかけて発見、国内外で大きな関心を呼んだ。細野教授らによる世界の研究者の常識を覆す成果は、0.5ナノメートル(ナノは10億分の1)という微細な「カゴ」の中に、特別な工夫によって多数の電子を入れることで実現した。
今回、細野教授と東北大学原子分子材料科学高等研究機構の相馬清吾助教高橋隆教授らは、光電子分光という手法により結晶の外に抜き出した電子のエネルギー状態を調べ、12CaO・7Al2O3の「カゴ内電子」の直接観測に初めて成功した。これにより、セメントと同様の化合物が透明な金属さらには超電導体となるメカニズムが、予測されていた通り「カゴ内電子」によることを確認した。
透明な金属は液晶ディスプレイやテレビなどに欠かせない材料だが、現在は海外から輸入しているインジウムという希少金属に頼っている。細野教授らのこれまでの研究成果は、ありふれた元素から成る材料でもナノ・テクにより新しい機能を発現できる可能性を示したとして、昨年スタートした最先端研究開発支援プログラム30課題の一つに選ばれている。
今回の金属化メカニズムの解明により、12CaO・7Al2O3をモデルケースとした新材料開発がさらに進展していくことが期待できる、と研究チームは言っている。
今回の成果は、最先端研究開発支援プログラム「新超電導および関連機能物質の探索と産業用超電導線材の応用」(中心研究者:細野秀雄教授)と、科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)「物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」研究領域(研究総括:田中通義 東北大学 名誉教授)の研究課題「バルク敏感スピン分解超高分解能光電子分光装置の開発」(研究代表者:高橋隆教授)によって得られた。

東工大、セメントを金属に変えることに成功
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200704161749&page=2
2007/04/18(水)
 東工大は11日、石灰とアルミナから構成される軽金属酸化物を、ナノの構造を利用して金属状態に変えることに成功したことを発表した。いわゆる「セメント」を金属の状態に変えることに成功したのは、東工大のフロンティア創造共同研究センターの細野秀雄教授を中心とする研究グループ。
 
今回、細野教授を中心とする研究グループは石灰(CaO)と酸化アルミニウム(Al2O3)は、からできている12CaO・7Al2O3(C12A7)というセメントの構成成分として使われている物質のナノサイズの構造にある酸素イオン(O2-)が、摂氏700度以上になると、結晶の中をよく動き回ることに着目。
その上で、この動きまわる酸素イオンを捕まえ安定した結合をつくるが、C12A7のカゴとは反応しない金属チタンと一緒にガラス管の中に封入して、摂氏1100度で加熱することで、カゴの中の酸素イオンをほぼ100%電子で置き換えて完全な伝導状態を示す金属状態に変えることに成功した。
これまで液晶ディスプレイやテレビなどの生産に必要な透明金属は、インジウムなどの希少金属を用いなければならなかったが、今回、細野教授を中心とする研究グループによって確立された技術を利用することによって簡単に入手可能な軽金属酸化物を利用して透明金属を生産できる道が開けてきたこととなる。
 
東京工業大学フロンティア創造共同研究センター
http://www.fcrc.titech.ac.jp/