「現人神」「国家神道」という幻想―近代日本を歪めた俗説を糺す。
- 作者: 新田均
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/02
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逆に言えば、よしりんが描けば(ひそかに)常識化するからとても良いことだ。
『新ゴー宣』で、天皇を本気で神だと信じていたのは、大東亜戦争時分に子供だった「小国民世代」だけだと書いてあった。これは興味深い指摘だ。同じように、明治43年までの日本人は、それほど天皇を崇拝すべき、畏怖すべき存在だとは思っていなかったのである。
ところがここに面白い事例がある。1929年生まれの加賀乙彦は『帰らざる夏』で、陸軍幼年学校の生徒を主人公として、敗戦ののち、徹底抗戦を叫んで果たさず、自害させている。陸軍幼年学校には小木貞孝こと加賀が実際にいたから、半分自伝的なものだ。だが、いわゆる「フォニイ論争」の発端となった、1973年暮れの東京新聞での座談会で江藤淳(1932年生まれ)は、あれだけの優等生が本気で天皇を神だと思っていたはずがない、と発言している。平川祐弘先生も、玉音放送を聴いて反感を抱いたという。
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/