不法滞在者


    
竹内薫さんは漏れの非常に尊敬するライターのひとりだ。
氏の意見はほとんど漏れも同感である。
だが、今回ちょっと違った。
不法滞在したフィリピン人一家を強制退去させることについて、薫先生はひどく怒っている。
だが漏れは仕方ないと思っていた。
個人的にはまじめで善良な市民であるこの一家を滞在させてあげればいいのにと思う。
だが「すでに日本で長期間働いて子供も日本で成長したから認めるべき」と一般化してしまうと問題である。
というのは、役所は前例主義だからこの例を認めてしまえば今後の歯止めが効かなくなるからだ。
不法入国しても子供が生まれればごね得を期待できることになってしまう。
だから感情に逆らっても厳正に法を施行するべしという理解だ。
    
しかしそもそも日本では地方行政で不法滞在者を摘発する仕組みができていないことが問題なのだ。
この場合、何の不自由もなく日本の公立高校まで進学できてしまったのが事態をこじらせたのじゃないか?
本来行政サービスを受ける時点で違法性を確認し、その時点で対処していればよかったはず。
就労・医療・教育・住宅で外国人登録を確認するようにすれば問題ないだろ。
逆に言えば、合法性を確認しないで外国人を雇える事態を放置していることがこういった問題につながっている。
外国人登録確認を人権侵害のように騒ぎ立てるサヨクはおかしいと思う。
グレー状態に放置することが外国人搾取の温床なのだ。
外国人をどんどん移民させたいなら国会で議論した上できちんと制度を整えるべきだ。
    

カルデロンのり子さん
あまり政治的な発言はしないことにしているんだが、今回ばかりは、本当に頭に来た。

麻生さんは役人のいうことを何一つひっくり返せない、つまり、指導力がない、ということなんだろう。いったい、なんのための総理大臣だろうか。

法務省の役人も本当に「マニュアル人間の集合体」なんだと思う。非人道的だけれどマニュアルにしたがって行動し続けるしかないんだとしたら、いっそのこと全員、コンピューターに代えてしまえばいい。

でも、役人が規則にしたがって行動するのはあたりまえなんだから、問題は、全く政治裁量を行使できなかった森法務大臣にある。政治家として「決断」ができないなら、はっきり言って、いらないよ。

オレは、幼少時の体験もあり、こういった問題に敏感すぎるのかもしれないけれど、法務省の言っている、
「一人だけなら残してやってもいい」
って、よくある役人のウソだよね。

どうやって子供が一人で生きていかれるのか、理解に苦しむ。というか、マスコミ対策のために、できないとわかっていて、ウソをついているだけなんだよ。「われわれも少しは人道的なんです」という陳腐なパフォーマンス。

実に汚ないやり方だ。

なんだか、嫌な国になっちゃったね。

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でも、オレみたいな「お涙ちょうだい」(←皮肉です)の意見は、この国ではどうやら少数派らしい。たとえば・・・

もしかしたら、派遣切りとか内定取り消しとか年間三万人の自殺とか鬱病とか、そういった問題についても同じく「お涙ちょうだい」って嗤っている人が多いのだろうか・・・。「他人の不幸は密の味」っていうことなのか。

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いや、でも、同情心のない人たちは、本当は少数派であり、やはり、日本人の大部分は、今回の決定に対して怒っているのだと信じたい。でないと救われないよ・・・。
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