沖縄決戦

           

激動の昭和史 沖縄決戦 [DVD]

激動の昭和史 沖縄決戦 [DVD]

 
                   
岡本喜八『沖縄決戦』を観た。
制作は1971年、戦闘から26年、沖縄復帰前である。
こういうまだ生存している関係者が多数いる歴史を描くのは勇気が要っただろうなあ。。。
                 
今回見直して日本軍や牛島中将に同情的であることに気がついた。
サヨクは海軍の太田少将にだけは同情的だが、陸軍や牛島中将については鬼か悪魔のように言う。
しかし実はもともと牛島中将は温厚な人格者で有名だったらしい。(いつの間にかサヨク的解釈にのせられていた自分に反省・・・)
               
ところで劇中「日本軍10万、県民15万死亡」とのテロップがでる。
岡本に悪意はなかったとは思うが、最近の研究からすると少し多いように思えて気になった。
そこでちょっと調べてみた。
             

沖縄戦時の人口

1944年の人口  約50万人

 疎開      ▲約6.5万人
 日本軍増援   +約8.5万人
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 沖縄戦時の人口   約52万人 ⇔ 米軍約55万人
 (うち軍人軍属  約12万人)
 (うち民間人   約40万人)

すげえな、現地人口以上の軍隊を侵攻させるなんて!

沖縄戦時の戦力
            
 日本軍 12万人 VS 米国軍18万人(上陸部隊)/55万人
              
 ・日本軍に臨時編入された沖縄人は2.5万人?
 ・日本軍の正規兵のうちの沖縄人は1万人?

日本軍は1/3が民間人の急ごしらえの軍隊だった、なんて言われるけど、2割の間違いじゃないのか?

沖縄戦の戦死
           
 日本軍  9.4万人 VS 米国軍1.2万人
 住民   8.2万人
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 合計  17.6万人 VS 米国軍1.2万人
            
(1)民間人の20%以上が死亡した。(8/40)
(2)日本軍の80%が死亡した。
(3)沖縄県民の25%が死亡した。(11/44)
(4)米国軍の7%が死亡した。(消耗率だと50%近い=8.4万人)

民間人死亡で20%を越えるなら、死傷は半数に達するのではないか?恐ろしい。。。
県外から駆けつけた日本軍も8割が死亡するという奮戦だった。
日本軍は良く戦った。あたかも「住民虐殺」ばかりしていたように語るのは不公平だと思う。
だいたい8万人以上の住民が「誰に」殺されたのかを考えれば、圧倒的に敵軍にきまっている。
(集団自決による死者はどのくらいになるのだろう?⇒その後約1000人だとわかった)
しかし、沖縄の住民がいくら日本軍を罵って平和主義を連呼しても、これだけの災禍を受けたのだから気持ちは理解できるけどな。
          

沖縄戦の経過

1944.10.10 那覇空襲
1945.03.22 硫黄島玉砕
     03.26 慶良間諸島上陸
     04.01 本島上陸
     06.13 海軍司令部壊滅
     06.18 米国軍司令官戦死
     06.23 沖縄守備軍壊滅
     07.02 米国軍戦闘終了宣言
     08.15 玉音放送
     09.07 日本軍降伏調印
1952.04.28 日本独立回復
1972.05.15 沖縄本土復帰

(1)沖縄戦戦死者の半数が6月に集中している。
(2)県外出身の日本兵8.5万人の死亡率は80%。(特攻除く)
(3)現在の沖縄の人口は約140万人。

沖縄戦の特徴は「もう勝負があった」頃から住民の死者が増えることだ。
日本軍司令部が「徹底抗戦」を命じたまま崩壊したせいにされているが、勝負があったにもかかわらず殺しまくった米軍はどうなるのだ?
6月以降に死傷者が激増したのは味方の損害や司令官の死亡に激高した米軍が復讐心に燃えて虐殺を始めたためだ。
日本軍に非難されるべき事実があったとしても、「日本軍悪魔説」は米軍の虐殺を隠蔽するプロパガンダとして強調されているように思える。
                
追記)
         
ところで第二次大戦での3大激戦は、
スターリングラード(ドイツvsソ連
・エルアラメイン(ドイツ+イタリアvsイギリス)
硫黄島(日本vsアメリカ)
なんだそうだ。
沖縄戦は入っていないんだなぁ。
                 
なお、これを纏めていて沖縄戦はいわゆる「南京事件」を想像するよすがになるかもしれないと思った。
南京戦では、城内に籠もった20万人?に対し日本軍5万人が攻略を仕掛け6週間にわたって虐殺したとされる。
沖縄戦では、南部に追いつめられた40万人に対して米軍18万人が4週間で10万人を虐殺した。
米軍は人間的だから死者が少ないのだ!と考えることも出来るかも知れないが、沖縄戦という惨事のさなかでも10万人を殺すということがいかに物理的に大変なのかを考えれば、南京大虐殺が30万人というのはありそうもないことのように思える。
試みに米兵の殺戮率から単純に比例させると、
      
10万人×5/18×6/4=4万人
       
奇しくも南京虐殺「中間派」の秦郁彦氏のいう4万人前後説に近くなった!
とはいえ、それはタダの数字のあそびなので、いつか南京事件についても自分なりにまとめなきゃなあと思う。(気が重いけど)